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文明を持つようになった人間は動物と違って、出産直後にプラセンタを食べてしまうということはしませんが、母体内から排出されたあとでも失われないその不思議な働きには昔から着目してきました。
中国では「紫河車」(しかしゃ)という名で産後の回復を早めるために服用されるほか催乳、強壮、強精目的に使われています。「紫河車」の歴史は古く、明の時代に編纂された『本草綱目』という薬物書に登場しますが、すでに秦の時代に始皇帝は不老長寿薬として珍重していたといわれています。あのクレオパトラやマリーアントワネットも永遠の美を求めてプラセンタを愛用していたことも有名です。
他にも朝鮮の医学書『東医宝図』や各種の本草書にも、プラセンタの効果が記されています。これらに共通して書かれていることは、肉体的・精神的な疲れや衰えに効果があるということです。服用の仕方は、乾燥させて粉末にしたり、酒で煮込んだりしていたようです。
日本では加賀藩の三大秘薬のひとつである「昆元丹」(こんげんたん)に処方され、やはり不老長寿薬として使われていました。
このプラセンタを本格的に医薬治療分野で利用することを可能にしたのは、ソ連のオデッサ医科大学のフィラトフ教授が皮下に冷凍ヒト胎盤(プラセンタ)を埋没させる組織療法を行い、瘢痕収縮や胃潰瘍に効果があることを発見したことに始まります。
さらにプラセンタの抽出物(プラセンタエキス)は皮膚病、消化器潰瘍、神経炎、更年期障害、リウマチ性疾患、噂息など多岐にわたる疾患に効果のあることを報告し、この業績によって1945年、ノーベル科学賞に匹敵するといわれるレーニン賞を受賞しています。